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東京地方裁判所 昭和46年(特わ)253号 判決

被告人

本籍

東京都台東区三筋二丁目二九番地五

住居

東京都文京区千石三丁目二五番四号

職業

会社役員

梶田善次郎

大正一〇年五月二日生

被告事件

所得税法違反

出席検察官

米田昭

主文

1  被告人を懲役六月および罰金二、五〇〇万円に処する。

2  右罰金を完納することができないときは一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

3  この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都台東区蔵前四丁目一八番四号において指輪およびネックレスの製造販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外しあるいは架空仕入を計上して、架空名義および無記名の定期預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四二年分の実際課税総所得金額が八七、一七五、〇〇〇円あったのにかかわらず、同四三年三月一四日東京都台東区浅草駒形一丁目八番一〇号所在所轄浅草税務署において、同税務署長に対し課税総所得金額が二〇、一〇七、〇〇〇円でこれに対する所得税額は九、四〇九、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって同年分の正規の所得税額五五、八九六、七〇〇円と右申告税額との差額四六、四八六、九〇〇円を免れ

第二  昭和四三年分の実際課税総所得金額が八六、六三〇、〇〇〇円あったのにかかわらず、同四四年三月一五日同都同区蔵前二丁目八番二二号所在所轄浅草税務署において、同税務署長に対し課税総所得金額が三二、三一〇、〇〇〇円でこれに対する所得税額は一六、四九五、九〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって同年分の正規の所得税額五五、〇九二、四〇〇円と右申告税額との差額三八、五九六、五〇〇円を免れ

第三  昭和四四年分の実際課税総所得金額が一〇四、三四三、〇〇〇円あったのにかかわらず、同四五年三月一六日前記浅草税務署において、同税務署長に対し課税総所得金額が五五、五三五、〇〇〇円でこれに対する所得税額が三二、〇〇八、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって同年分の正規の所得税額六八、〇七八、〇〇〇円と右申告税額との差額三六、〇六九、九〇〇円を免れ

たものである。(なお、右各所得の内容は別紙一ないし三の各修正損益計算書のとおりであり、逋脱税額の計算は別紙四の逋脱税額計算書のとおりである。)

(証拠の標目)(かっこ内は立証事項であり、数字は別紙一ないし三の各修正損益計算書の各勘定科目の番号を示す。)

一、株式会社梶田経理担当社員和泉好雄作成の次の書面

1 梶田善次郎の売上除外金額等について(一の1、二の1)

2 地金の在庫について(一の2 4、二の2 4、三の2 4)

一、次の者の検察官に対する供述調書

1 和泉好雄(一の1、二の1 3、三の3)

2 小平文男(一の2 4、二の2 4、三の2 4)

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 たな卸計算書(一の2 4、二の2 4、三の2 4)

2 検査てん末書(右同)

3 売上計算書(自昭和四五年一月一日 至昭和四五年六月一一日)(右同)

4 売上計算書(自昭和四四年一月一日 至昭和四四年一二月三一日)(右同)

5 仕入計算書(自昭和四五年一月一日 至昭和四五年六月一一日)(右同)

6 仕入計算書(自昭和四二年一月一日 至昭和四四年一二月三一日)(一の2 3 4、二の2 3 4、三の2 3 4)

7 株式配当金調査書(一の31、二の30、三の29)

8 公社債投資信託等の各年分残高および雑所得計算書(一の37、二の36)

一、浅草税務署長吉沢利治作成の証明書(一の37 29、二の25 26 27 28、三の24 25 26 27)

一、押収してある次の証拠物(昭和四六年押七二九号)

1 固定資産台帳一冊(符号6の2)(二の38、三の37)

2 所得税確定申告書一袋(符号21)(全般)

3 一人別関係書類綴一綴(符号22)(全般)

一、被告人作成の次の書面

1 委託加工中の宝石在庫について(一の2 4、二の2 4、三の2 4)

2 簿外仕入について(一の3、二の3)

3 簿外経費について(一の9 11 19、二の8 11 14 17 21、三の8 11 13 16)

4 事業奨励金(雑収入)について(二の23、三の22)

5 日興証券兜町支店との取引について(一の37、二の36)

6 貸付金及び貸付金利息について(一の36、二の35、三の35)

7 固定資産減価償却について(一の34、二の33、三の33)

一、被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書(全般)

一、被告人の検察官に対する各供述調書(全般)

一、被告人の当公判廷における供述(全般)

(法令の適用)

各事実につき所得税法二三八条(いずれも懲役刑および罰金刑を併科)。併合罪加重につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第一の罪の刑に加重)、四八条二項。換刑処分につき同法一八条。刑の執行猶予につき同法二五条一項。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一 修正損益計算書

梶田善次郎

自 昭和42年1月1日

至 昭和42年12月31日

〈省略〉

別紙二 修正損益計算書

梶田善次郎

自 昭和43年1月1日

至 昭和43年12月31日

〈省略〉

別紙三 修正損益計算書

梶田善次郎

自 昭和44年1月1日

至 昭和44年12月31日

〈省略〉

別紙四 逋脱税額計算書

梶田善次郎

〈省略〉

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